テクノ便り |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)について良くある質問と回答(FAQ) |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
ATR測定について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) ゴムの測定を行う場合、どのようなATRアクセサリーを選んだら宜しいでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) アクセサリーメーカー各社から多様なATRが発売されております。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 最近、ATRアクセサリーのスループットが落ち、S/Nが悪くなってきましたが、考えられる原因は。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 一般的なATRで使用しているZnSe、KRS-5、Ge結晶などはクリーニングした時の小さな引っ掻き傷や化学反応により結晶表面が荒れてきていると考えられます。結晶表面が荒れると結晶内で反射される赤外光が乱れ、スループットが低下します。また、試料との密着度も低下し、測定感度が悪くなります。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) ATR結晶はどのような溶剤で洗浄したらよろしいでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) ZnSe結晶の場合、蒸留水、中性洗剤の希薄溶液、アセトン、ヘキサン、メタノール等が使えますが、日本の多湿な時期はIPA(イソプロパノール)がお勧めです。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) ATR結晶の洗浄では、どのような溶媒の使用を避けたらいいでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) もし、トラフプレート(ボート型)の水平ATRをご使用でしたら、アセトン、塩素系の溶剤(塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム等)の使用は避けてください。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) ZnSeをATRで使用したときの測定可能波数範囲はどの程度でしょうか。 |
他のATR結晶や窓材の測定可能領域は以下のウェブサイトに詳しいデータがあります。 |
||||||||||||||||||||
A) 多重反射型では6000~650
cm-1の領域が測定可能です。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) ZnSeはどの程度のpH範囲で使用可能でしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) pH 5~9 の範囲で使用できます。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 無機の酸の分析ではどのようなATR結晶を使用したら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) Diamond(化学的に安定) |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 強いアルカリの分析ではどのようなATR結晶を使用したら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) Diamond |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 結晶についてのより多くの情報を得るにはどのような所、書籍がありますか。 |
|||||||||||||||||||||
A) "HANDBOOK OF INFRARED OPTICAL MATERIALS"(EDITED BY PAUL KLOCEK)Marcel Dekker,Inc.に詳しく紹介されています。 web siteでは |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 多重反射型ATRでZnSe 45°の結晶では何回ぐらい反射しているのでしょうか。 |
|||||||||||||||||||||
A) 結晶内部での反射回数は次式で計算されます。 ここでLは結晶の長さ、t は結晶の厚み 平行四辺形の結晶で長さが50mm、厚さ3mmの45°入射の結晶では |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 多重反射型ATR結晶の再研磨は可能でしょうか。 |
|||||||||||||||||||||
A) 結晶の再研磨は可能ですが、再研磨により表面から1mm程度薄くなります。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 非常に吸収の強い試料はどのように測定したら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) Ge結晶を用いた1回反射のATRが良いでしょう。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 一回反射のダイヤモンドATRで水溶液を直接測定したときの溶質濃度は |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
拡散反射測定について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 透過率の様なスペクトルを得るには試料をどのように調整したら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 一般的に有機試料の場合は試料とKBrの混合比(重量比)を5:95(5%)に、無機試料の場合は1:99(1%)にし、メノウ乳鉢等で良く混合します。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 試料カップにはどのように詰めたら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 最初に試料カップからあふれるくらいに入れ、その後試料カップの上の方を軽くたたき、少し沈んでからヘラ(スパチュラ)などで注意深く平らにします。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 測定でバックグランドには何を用いたら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 何種類かの希釈剤がありますが、試料を調整した時の希釈剤を用います。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 試料カップにはどのような大きさのものがありますか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) アクセサリメーカーにより異なりますが、マクロカップで径が13mmφの場合、0.25g程度入ります。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
スペキュラー反射について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 入射角80°の反射アクセサリーで付属のマスクを使って測定した時、1200-700 cm-1に非常に強い吸収ピークが現れます。 |
|||||||||||||||||||||
A) このアクセサリーでは小さな試料を測定するために、陽極酸化のアルミニウムマスクが付属しています。このマスクはローソク等で煤をつけています。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 反射測定のスペクトルで微分されたような鋭いピークが見られますが、どのように取り除いたら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 微分されたような鋭いピークは反射法での分散による結果です。比較的厚めの試料を測定した時に出現します。このようなピークを補正するにはK-K(Kramers-Kronig)解析を行うことで透過率スペクトルに近似したデータに変換できます。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 反射アクセサリーで配向(方向)性の測定が可能ですか。 |
|||||||||||||||||||||
A) 反射アクセサリーにKRS-5(又はZnSe)ワイヤーグリッド偏光子を取り付けることで、測定が可能です。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 偏光子の不要な高感度反射アクセサリーはありますか。 |
|||||||||||||||||||||
A) はい、Harrick Sci社製Refractor2(TM)
Grazing Angle AccessoryはSiウェハーを用いた特殊な光学系により、P偏光だけが試料に届きますので、外部への偏光子取付は不要です。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
一般的な事項について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) Geは高温下でも使用可能でしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) いいえ、Geは100℃位から透過率が悪くなり、125℃で赤外光が透過しなくなります。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) なぜ、ベースラインが傾くのでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 殆どの場合、測定アクセサリーの光学的なアライメントが十分でないことが原因です。取扱説明書に従って調整して下さい。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) KRS-5(又はZnSe)偏光子のクリーニングは可能でしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) いいえ、偏光子のグリッド面に触れるとグリッドが損傷され、偏向性能が悪化します。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) アクセサリーのミラーをクリーニングするにはどのようにしたら良いでしょうか。 |
保護膜付のミラーやGe、Diamondプリズムなどのクリーニングには光学用クリーニング液と傷の付きにくいクリーニングペーパーがお勧めです。 |
||||||||||||||||||||
A) 殆どのミラーはアルミまたは金蒸着されており、保護膜がありません。ペーパーや脱脂綿等で直接ミラーを拭いたりしますと傷が付いたり剥離します。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
個体の透過測定について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) KBr錠剤がなかなかクリアーに出来ないのですが。 |
|
||||||||||||||||||||
A) KBr粉末は吸湿性が高く、メノウ乳鉢での粉砕は手早く行い、速やかに錠剤を作成して下さい。時間の経過とともに吸湿してしまい、透明度の高いKBr錠剤ができません。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
液体透過セルについて |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 液体セルで測定した時、ベースラインがうねっていますが、これは何がいけないのでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 使用しているセルの窓板が非常に良く研磨されており、窓板での内部反射による干渉縞とセルギャップによる干渉縞が考えられます。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 液体セルで試料を測定した時に、透過率表示でベースラインが100%以上になってしまいました。どうしたら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A)使用されている窓材の内面が荒れている場合、バックグランドを空のセルで測定した時と試料がセルに入った時で赤外光の散乱の状態が異なることが原因です。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 水溶液系の試料の測定ではどのような材質の窓を使ったら良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) BaF2、ZnSe等がありますが、両者とも水に対し若干の溶解度があります。 BaF2の溶解度:0.17g/(100gH2O) |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) 試料を溶媒で溶解させた後、ウィンドウに塗り、溶媒が蒸発後に測定したいのですが、なにか良いホルダーはありませんか。 |
|||||||||||||||||||||
A) 窓材が25mm径のMull セルやプレスロックホルダーが便利でしょう。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) KBrやNaClの窓板をクリーニングする場合、どのような溶媒が良いでしょうか。 |
|
||||||||||||||||||||
A) ヘキサンの様な非水系溶媒を使います。非水系であっても気化潜熱により窓材に結露することがあります。乾燥した部屋での洗浄をお勧めします。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
検出器について |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) MCT検出器を使っていますが短時間で感度がでなくなります。 |
|
||||||||||||||||||||
A) MCT検出器デュワーの減圧度が悪く、保冷能力が低下していることが原因と考えられます。MCT検出器の為には非常に悪い状態ですので、使用を直ちに中止し、デュワーの再減圧を行って下さい。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
Q) MCT検出器で時間の経過と共に3500cm-1付近のベースがゆがみ、S/Nも良くありません。 |
|
||||||||||||||||||||
A) 上の回答と同じ様な状態で、検出器素子表面に氷が付着し徐々に氷が成長していると思います。早めにデュワーの再減圧を行うことをお勧めします。 |
|
||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
【お願い】 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
その他FT-IRに関する測定上のご相談や質問などは下の問い合わせボタンからメール、FAX等でお願いします。 |
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||
株式会社テクノサイエンス TEL:043-206-0155 FAX:043-206-0188 〒264-0034 千葉市若葉区原町929-8 |
|||||||||||||||||||||
|